次回の展示
Shaping the Unseen── まだ見ぬかたち
Atsushi Kaga、小笠原美環、鮫島ゆい、武田鉄平
2026年9月12日(土) - 10月17日(土)
MAHO KUBOTA GALLERYでは、2026年9月12日(土)より、Atsushi Kaga、小笠原美環、鮫島ゆい、武田鉄平によるグループ展「Shaping the Unseen — まだ見ぬかたち」を開催いたします。
「Shaping the Unseen — まだ見ぬかたち」は、4名のアーティストによる、これまで人目に触れる機会の少なかったスケッチやスタディを中心に、そこから展開されたペインティングもあわせて紹介する展覧会です。
作家の思考のなかに蓄積された記憶やレファレンス、頭に浮かぶ曖昧なイメージが、手の動きを通して初めて目に見えるかたちとなっていく、制作の始まりと過程に焦点を当てます。スケッチやスタディは、完成作のための単なる準備ではなく、発想が初めて輪郭をもち、作家との対話を始める場でもあります。瑞々しい着想が、ときにペインティングへと展開し、さらにその先の作品へと繋がってゆく可能性をご覧いただければ幸いです。
ダブリンと京都を拠点に活動するAtsushi Kagaは、自らのアルターエゴであるUsacchiと、その相棒Kumacchiを中心に、ユーモアと寓話性が交錯するナラティブを描き続けています。多様な絵画文化から影響を受けながら、近年は日本の伝統絵画が育んできた物語のあり方にも強く惹かれ、その視点を取り込みつつ独自の絵画世界を展開しています。大型のペインティングを構想する際には、スケッチやレファレンス、イメージの断片をコラージュとして組み立てながら、物語が自ずと動き出す瞬間を待ちます。本展では、その構想を膨らませる過程で制作された貴重なスケッチやコラージュをご紹介します。
ハンブルクを拠点に活動する小笠原美環は、静謐な風景や室内、光の移ろいを描く油彩画で知られています。しかし、彼女自身の言葉を借りれば、描いているのは風景ではなく、Humanity──人間という存在そのものです。近年、小笠原は金属箔を画面に取り入れた新たな表現に取り組み始めました。本展でご紹介するのは、その試みが始まったばかりの実験的な作品群です。長年探究してきた「光」と「存在」というテーマが、新たな素材との出会いによってどのように変化し、成熟してゆくのか。その始まりの段階をご覧いただきます。
鮫島ゆいは、人が世界をどのように知覚し、その断片をどのように絵画へと翻訳できるのかを探究しています。彼女の作品では、身体を通して獲得された世界の感触と、試行錯誤のなかで培われてきた知とが交錯することで、多層的なイメージを立ち上げます。本展では、三点の作品を並べることで、一つの絵画が形を得てゆく過程を可視化します。
武田鉄平は、「絵の絵を描く」アーティストです。頭に浮かんだイメージを、まず小さな「絵」──エスキースとして描き、そのなかから最も絵画となるべき一枚を選び出します。そして、その「絵」に長い時間をかけて向き合い、再び「絵」として描くことで、最初の「絵」は、一枚の絵画作品として結実します。本展では、その出発点となった複数の「絵」を展示します。これまで公開される機会は極めて稀であり、武田の制作の核心に触れることのできる貴重な機会となります。
4人のアプローチは大きく異なります。しかし、いずれも完成した作品の背後にある「まだ見ぬかたち」に目を向けることで、それぞれの絵画がどのように生まれてくるのか、その思考の軌跡を垣間見ることができます。