安部典子

Shadows and Synchronicity

2020年02月07日(金) - 2020年03月07日(土)

《 The fold - Desert Bloom: Fazal Sheikh 》2016, Cut on a book “Desert Bloom", dimension variable ©︎Noriko Ambe/ MAHO KUBOTA GALLERY ©︎Noriko Ambe/ MAHO KUBOTA GALLERY
《 Miles 3 》2017, Cut on Yupo, φ79 x D.5 cm ©︎Noriko Ambe/ MAHO KUBOTA GALLERY

MAHO KUBOTA GALLERYでは 2月7日より安部典子の四年ぶりの個展「Shadows and Synchronicity」を開催いたします。

白い紙、あるいは本のページを一枚ずつ鋭利なカッターで切り抜き、それらを数百枚重ねることで生まれる造形表現を特徴とする安部典子。本人がカッティングプロジェクトと位置付けるこの仕事がはじまってからすでに20年が経過しています。安部の現在の立ち位置から新たな挑戦がスタートいたします。

キャリア初期の安部の発想は自然の情景やランドスケープに触発される形でスタートしています。アートへの直感的な希求とオリジナリティへの追求から生まれた初期の作品は、自らのエネルギーを自然のもつ壮大な力のほんの一部とマッピングし、そこに意識を集中させることで成立しているように見えます。作品の多くには自然への畏怖と芸術の崇高性への憧れが宿り、幾重にも重ねられた紙のエッジが形作るシンプルで流麗な芸術的言語は鑑賞者に瞑想的な印象を与えることもありました。一方、紙や本という根源的でありメッセージ性の強い媒体と同時に安部が長く作品にとりあげてきた媒体がビズレー社のスチール製キャビネットです。安部自身はキャビネットのもつフレーム構造とプライマルな色彩が自らのアート言語を明確に伝える手段となると考え、キャビネットを解体し、その中に紙や本の要素を配置するなど様々な手法で手を入れ、表現の実践を積み重ねてきました。

今回の新作展ではキャビネットが重要な要素として、これまでと異なるシステムのもとに展開される予定です。すなわち、キャビネットがもつ構造やフレームとしてのソリッドな機能が、意識の流れや有機的なエネルギーのムーブメントを象徴するかのような紙の仕事と新しいシステムのもとに対立し、融合し、共鳴しあいながら生まれてゆく挑戦的な作品が提示されることとなります。これまでの作品に見られる瞑想的かつ情動的な要素をいったん断ち切り、創作の過程にある身体的アルゴリズムや偶然性を再度捉え直し、新たな決意のもと表現すべき対象に向かい合った結果、安部はフレーム構造を担保しつつも自由に開いたり閉じたりするフォームを作り、その中に時間の流れやエネルギーといった動きのある要素を関連づけていきます。幾分か俯瞰的に世界を捉えてきた視点が、はっきりとした力学とインパクトをもって地軸とつながる。安部は本展をキャリアの起承転結の上で「転」のステージの始まりと位置づけています。